2013年3月21日に同じルートで周回を目指したが、荒天のため阿能川岳手前で敢え無く撤退した。今年こそとリベンジを期してはいたものの昨年のことが頭から離れず、正直なところ恐怖感が先行し二の足を踏んでいた。それでも先日の大佐飛で行きたいとの思いが強くなりネットでの情報を漁り読みした。ただ当日は夕方から集まりがあるので遅くも14時には下山しなくてはならない。前回同様15時間を上限とし余裕を見て22時スタートを予定して川古温泉に向かった。17時前に林道口前の駐車場に着き準備を始めていると林道から単独者が現れた。隣に駐車したクルマの御仁(なんと栃木の方)で、今朝スタートし十二社ノ峰からスルホ俣山まで行き、小出俣山を周回して下りてきたという。残雪、藪、危険地帯の直前情報を事細かく教えていただき、決行前の不安は落ち着き暫しの仮眠時間となった。9時半に起きだし持参した特製カレーで腹ごしらえをすると、いよいよ2年越しの挑戦スタートである。

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阿能川岳までは2度目なので暗闇でも何の心配もなかった。 巡視路が残雪に覆われ巻けずにヨシガ沢山に登り上げたことが予定外だったが、雪はヨシガ沢山からはほぼ繋がっていたのでトレースを使い順調に歩いた。痩せ尾根のところも雪庇が使えたので薮尾根を歩いたのは三岩山手前だけくらいの僅かな区間だった。ただガスっていたのでただでさえ暗闇なのに先にライトが届かないのにはちょっとばかり参った。スタートから4時間半、夜半の2時過ぎに念願の阿能川岳山頂を踏んだ。平坦な尾根筋の先の立ち木に山名板が下がっていただけだったが、満天の星と関越道の明かりが祝福してくれてるようだった。写真左は三岩山手前の痩せ尾根は雪庇上を巻く、右は阿能川岳の山名版

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小出俣山までは明瞭な稜線続きとなるのだが最初の出足で躓いた。理由は雪庇の巨大なクラックに尻込みし、尾根筋を外したため隣の枝尾根に引っ張り込まれてしまったのだ。どうにかトラバース気味に復帰してからは、幅10mはあるだろう巨大雪庇が続いていて緩やかに高度を上げていった。ところがピークまであと700m辺りのところからは次第に勾配が増し最後は雪壁の急登となった。それでもスパ長でステップが切れるのでピッケルで確保しながら50m余りを攀じ登った。ちょうどこの辺りで空が白みだし辺りの稜線はシルエット化して浮かび上がってきた。背後には谷川岳に続く爼倉の稜線がぼんやりと見えてきた。そして前方には勾配を緩めた斜面の先に目指すピークがうっすら見えてる。次第に明るくなる中でヘッドライトを外すと目指す山頂となった。山頂には登山口で出会った御仁のトレースがしっかりと刻まれ、この先の先導役となってくれた。阿能川岳からほぼ2時間。写真左は夜明け間近の谷川岳シルエット、中央は小出俣山山頂、右は西側の三尾根岳からスルホ俣山への稜線で後方は仙ノ倉山

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小出俣山の西側は結構な急勾配で、痩せた稜線上の雪庇にはクラックが入り先人のトレースに合わせて足を置きながら歩いた。三尾根岳との鞍部近くでは北側を巻ながら下り、そのままトラバースしスルス俣山への尾根に乗った。緩やかで広い尾根筋で小さなピークを一つ過ぎるとシャクナゲ薮の小さな山頂となった。写真左は下山路となる三尾根岳から烏帽子岳の稜線、中央はスルホ俣山への緩やかな稜線、右はスルホ俣山山頂で後方が仙ノ倉山

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トラバース地点まで戻ると三尾根岳の急な登りとなる。北斜面で強風にさらされているためだろうか雪でつぶされた灌木が顔を出しているので足を取られて登り辛い。山頂部は笹と背の低い灌木の混合藪でほとんど雪はない。その分視界は良好だ。写真左はスルホから見た三尾根岳で左は小出俣山、中央は三尾根岳山頂で後方は谷川岳、右は登り来たヨシガ沢山~三岩山の稜線で後方には吾妻耶山と三峰山が見える

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ここから十二社ノ峰までは比較的狭い尾根筋となり、雪庇の根元にはクラックが入り雪崩れ始めているものもあるので薮尾根や西側を巻きながら下りる場面が多くなった。とは言えど薮は醜く、烏帽子岳の登り返しでは大きなクラックのある雪庇を上った。登りついた烏帽子岳山頂には雪はなく、ツツジとシャクナゲの混合薮だっが、すぐ先にも同程度のピークがありどちらが山頂か見当がつかなかった。写真左は三尾根岳からの藪尾根、中央は烏帽子岳手前から見た下り来た尾根筋、右は烏帽子岳の南側のピーク

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烏帽子岳からは急勾配の雪稜となり、スパ長にアイゼンを履かせ下った。松ホド山との鞍部近くでは大岩が行く手を塞いでおり、どうみても西側を巻くしかないようだが急斜面の雪渓となっていた。どうにか大岩を巻いたが相変わらず尾根筋にはシャクナゲを中心とした灌木藪が続き、西斜面の雪渓にアイゼンを蹴り込んで登った。松ホド山は南北に長く平坦であるが、南側の方が幾分高いように見えた。写真左は鞍部近くの露岩でここを慎重に巻いた、中央は松ホド山山頂、右は山頂からの烏帽子岳~三尾根岳

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ここから十二社ノ峰までは最初のうちは藪も多少はあったが、総じて緩やかな広い樹林帯の尾根筋が続いた。 軽く下り、小さな鞍部から登り返すとほどなく十二社ノ峰となった。広い山頂には3枚の山名板が下がっていた。写真左はたおやかな雪原にて余裕のポーズ、中央は十二社ノ峰山頂、右は十二社ノ峰下りの痩せ尾根

140410阿能川岳周回
ここからは一転して急勾配の下りが続いた。とても登りには使いたくない急勾配であり、急斜面をやっとのことで下り林道へ降り立った。あとは林道を少しばかり歩き林道ゲートのある登山口に帰り着いた。13時間と想定時間内の帰還であったが、これは反時計回りがその要因だと感じる。 十二社ノ峰までの急登とその先の藪を考えるととても登りには使いたくないと思えてしまう。