この一ヶ月間は残雪狙いで那須から日光辺りの山を集中的に攻めていた。というわけで久しぶりの関東百名山なのだが、半日でも往復が可能な両神山をターゲットに定めた。この山に白井差から入山するには、土地所有者である山中さんに事前予約をすることが条件であるということなので、早速予約を入れ前夜のうちに埼玉に向け高速を飛ばした。23時前に車道のとっつきにある山中邸前の駐車所に着いた。暗闇の中にはネットで見覚えのある立て看板がある。ラジオから流れる天気予報を気にしながら、焼酎の勢いで布団に潜り込んだ。辺りが白みだした5時過ぎに起き出したら、薄雪の木立の中に雪が舞っていた。桜も散りだすこの時期に、雪化粧の両神山にワクワクしながら、湯を沸かしカップ麺で朝食とした。しばらくすると山中さんがやってきて家の中に招き入れてくれた。朴訥とした語りぶりで、電話の時の印象通りの優しい方で、ルート図を見ながら丁寧にポイントを説明してくれた。


6時丁度に山中邸から始まる白井差登山口に入った。最初は廃林道で5分でコンクリート橋となり、渡ると沢の中の登山道となる。いくつかの木橋で左右に渡渉しながら進むと、登山道は沢左岸の杉林の中へと続く。ほどなく右手前方に落差10m位の昇竜ノ滝となる。滝を右手に見送りながら、さらに沢に沿って登って行くが、足元は2、3cmの薄雪で滑り易く注意しながら歩いた。スタートから30分で大岩が前方を塞ぎ、右へ大きく巻くように上がるとオオドリ河原となり、この辺りから芽出し期のコバイケイソウの群落の中の登りとなる。写真左は白井差登山口にある山中さん手書きの規約、中央は昇竜ノ滝近くの左岸にかかる木道、右はコバイケイソウの群落


小尾根に取り付くとそこには水晶坂の標示があり、コースのほぼ中間地点を示していた。尾根道は直ぐに急勾配となり、その傾斜を避けるように右斜面へと登山道は変わり、長い九十九折りの登りが続いた。その後も勾配を避けるように登山道は作られ、ブナ平、夢見平、大笹と通り過ぎると山頂からの稜線となる。ここからは尾根上を辿ればまもなく山頂となる。鎖の下がる大岩を上がると、小さな祠のあるピークとなり、二等三角点と日本百名山の山名標が飛び込んできた。生憎の曇り空で視界はなかった。戻りは往路をピストンしたが、雪でスリップし2度3度転倒しながらも一時間で下った。お出かけした山中さんに代わり奥様に対応いただき、地図を返し、環境整備費1000円をお支払いして白井差を後にした。写真左は水晶坂先の急斜面に続く九十九道、中央は山頂の山名標、右は戻りの時に見た昇竜ノ滝