伊豆七島・神津島の天上山に出かけてきた。神津島への交通手段は船と飛行機があるが、日帰りとなるとどうしても飛行機しかない。調布飛行場から一日3便の往復便があり、始発便(8:40)で島へ向かい最終便(16:00)で戻る計画を立てた。予算的には船に比べ割高になるが、一泊する宿台や時間を考慮すれば安い。調べたところ神津島には6~7つの山名を見つけることが出来たが、その中で確実に登れるのは神戸山、天上山、櫛ヶ峯、秩父山の4山だ。神津島の飛行場は島の南端にあり、北端に位置する神戸山を含めて全てを周回するには25km以上の距離となり、6時間の滞在時間内で歩くには裏技が必要になる。さぁー、日帰りで神津島の4山を巡る旅の始まりです。


19人乗りの双発機に搭乗し、調布飛行場を飛び立つと直ぐに左側に大きく旋回し南に針路をとる。あっという間に1500mまで高度を上げ水平飛行へ移ると、眼下には多摩から湘南の街並みがまるで箱庭のように広がり、西側には雲海の上に真っ白な富士山が見えてきた。やがて海に出て、しばらくは雲海上の快適なフライトが続く。やや高度下げ、雲の中を通過するとき何度かの揺れにドキッとしたが、雲を抜けると左手に神津島が見えてきた。35分で神津島飛行場に降り立った。飛行場の外に出たが思惑が外れた。タクシーが無いのだ。こりゃー裏技危うしw どうにか携帯でタクシーを呼び、20分遅れで飛行場をスタートした。まずは携帯食を揃えるためにスーパーに立ち寄りおにぎりとドリンクをゲットした。前浜集落を過ぎ直ぐに林道神戸山線へ分岐するが、狭くて曲がりくねった林道はコンクリート舗装されている。30分で神戸山の採石場となり、転がる石の間を駆け上がるがガレ場状態で足元が滑る。島特有の粘っこい灌木の先の岩稜の神戸山ピークを15分で往復しタクシーに戻った。写真左は離陸してすぐに見えた富士山、中央は上から見た神津島で左端が神戸山で真ん中は天上山、右は砕石場越しに見える神戸山ピーク


次はいよいよ核心部の天上山で、林道神戸山線を戻り、途中から林道宮塚山線へ分岐し、白島6合目登山口までタクシーで移動した。ちなみにここまでのタクシー代は6250円だった。登山口を入ると木段が設置されておりよく整備された登山道が続き、合目標示があり10分余りで10合目となった。10合目と言っても山頂ということではなく、この山の頂部は台地状となっていて小さなピークが散在する中に砂漠状の窪地や小さな池が点在している。全体が古い火口の跡といった感じだ。台地状の頂部には景勝ポイントを巡るいくつものコースが設定されており、まず最初にほぼ中央部に位置する最高点に立った。最高点からは前浜の市街地や港が見渡せる。写真左は白島登山道の様子、中央は天上山山頂、右は山頂から見る台地状の頂部


次の櫛ヶ峯は台地状頂部の北東に位置するので表砂漠を経由して不動池を目指した。黄色いペンキの矢印が次々とルートを案内し、櫛ヶ峯がやがて視界に飛び込むところまで進むが、突如として黄色いペンキが消えた。それでも丹念に探すと薄い踏み跡が櫛ヶ峯の方に向かって続いていた。膝丈くらいのシダや灌木が踏み跡を覆っていて人は殆んど歩いていないようだ。少しばかりの急斜面を下りると痩せ尾根の鞍部となり、緩斜面を登り返すとなだらかなピークとなる。山頂部を示すようなものは無いが明らかに周囲と比べると高い位置にありピークであると確信した。ここからの天上山の山頂台地は眺めは最高であり独り静かに昼食とした。写真左は不動沼の先から見える櫛ヶ峯と薄い踏み跡分岐、中央は櫛ヶ峰山頂部越しに見た天上山、右は鞍部の痩せ尾根


再び台地状頂部に戻り黒島登山口に下山し手からは、高処山の中腹を巻くように南進する一般道を足早に歩き、秩父山登山口に着いた。この山には秩父観音が祀られており、登山道はよく整備されているし勾配もきつくない。登山口から15分でアンテナ郡の立つ秩父山に着いた。ここからは天上山から多幸湾にかけての眺めが最高だったので、飛行機のフライトまでの時間調整を兼ねてゆっくりと滞在した。もしもの時を考えて持参したSQを3m位の高さに上げ運用してみたが、ロッドアンテナと比べて格段の優位性は無く、山岳運用時のアンテナ選びには再考を要す。山頂からは順調に反対側に降り、神津島飛行場にはフライト1時間前に戻った。午後には手元の温度計は20度を示し、T-シャツでの快適な島歩きは日常の繁忙さを完全に忘れられる一瞬となり、「生きてるなぁーー」てことを感じながらの楽しい山行だった。写真左は黒島下山口から見た高処山とその奥に秩父山、秩父山山頂に立てたSQ、右は左から秩父山、高処山、天上山

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