時期外れの台風で今日開催予定の野球大会が中止になってしまった。しかし台風は昨夜のうちに東へ抜け、台風一過とはいかないが出掛けられそうだ。そこで気になるルートを歩くことにした。それは先週、等高線の狭間さんが福島県側から男鹿岳に登った山行記録の中に、日留賀岳から塩那道路、塩那道路から男鹿岳のルートが行政によって作られているとのことだったからだ。奥塩原から日留賀岳へは小山氏宅サイドから入るのが通常であるが、林道ゲートが開いており林道終点までクルマで進入でき、ここから取り付くことにした。


夜明け直後の6時過ぎに登山口に入った。ここを歩くのは3度目で、紅葉真っ盛りの林間コースは長丁場を感じさせない快調な歩き出しとなった。綺麗に下草刈りされた登山道は日留賀岳まで続いた。山頂は雲の中で全く視界は無い。さて肝心の北へ向かう日留賀尾根への入口だが、見た目は今までと同じで切り開かれた様子は確認できない。半信半疑で踏み込んでも状況は同じだったが、しばらく行くと下草と灌木の小枝が刈り払われ、しっかりと作道作業が行われていた。とは言えど草刈り機で刃が立たない太い枝は残り、行く手を塞いでいるところもある。切り開かれる前を知らないので何とも比較にならないが、下り勾配の中、塩那道路まで39分で到達することができ大幅な時短となっているだろう(山部さんは6年前の9月に105分で抜けている)。ちなみに残雪の時期に39分で歩いた記録があり、はからずも同タイムであったということが歩きやすい事を示している。写真左は日留賀岳からの取り付き地点、中央は刈り払われたチシマザサの尾根、右は切り払われた灌木帯だが幅は広くない


塩那道路へ降り立った地点が日留賀峠でこの先が天空のスカイラインと称されるところとなる。だらだらと坂を上がると鹿の又坂を過ぎた辺りから植生回復の名のもとに新たな工事が行われており路面は良く整備されている。峠から約1.2kmで100mほど高度を上げると、1846P(以前は鹿又岳山頂とされたピーク)の西側を抜け、切通しの塩那道路最高地点(1805m)を過ぎ下り勾配となる。ほどなく真新しいプレハブ小屋が飛び込んでくる。えっ、スペースハウス?と一瞬頭をよぎるが、一回り小さな6畳間で中にはブルーシートが置かれていた。避難小屋として新しく設置されたようで「鹿又ハウス」と言ったところだろうか。鹿又岳は戻りに登ることとし取り付き点を探りながら、ひょうたん峠に向かって高度を下げた。写真左は鹿の又坂のカーブ、中央は塩那道路最高点から少しばかりひょうたん峠に下がったところにあった新しいプレハブ小屋、右は男鹿岳の取り付き地点でコンクリート壁の先にピンクテープが下がる


見覚えのあるスペースハウス・大佐飛山への取り付き地点を過ぎ、男鹿岳への登り口を目指すも明らかな取り付け地点を見出せぬままに前回の取り付き地点まで来た。ピンクのリボンは下がっているが、登山道入り口として切り開かれた様子は一切ない。急斜面をチシマザサ、シャクナゲを手掛かりに必死に15m余りを這い上がると、突然視界は開け尾根上には一筋の道が切り開かれていた。先を見ると辿る尾根筋にははっきりとルートを確認できる。元々あった踏み跡をなぞるように切り開かれており僅か30分で山頂となった(ちなみに2年前は同じルートで75分を要している)。悪天候で視界は無く、早々に下山を始め下りは22分で取り付き地点に降り立った。写真左は男鹿岳の尾根筋に続く切り開かれた登山道で奥のピークまで続いている、中央は同部から下を見たところで取り付き地点が確認できる、右は男鹿岳山頂で2年前には割れていた山名板が補修され三角点横に置かれていた


塩那道路を戻り、スペースハウスで15分間の昼食休憩をとって次の鹿又岳に向かったが、取り付き地点を何処にするか迷った。最短地点から取り付こうとしたが余りにも急斜面で諦め、笹丈の低い窪地を南側に見つけ取り付いた。入ると直ぐにピンクテープが下がり安心したのも束の間テープは消え、目の前にはハイマツの群生が壁となって立ちはだかってきた。枝振りが密で太さもかなりありとても掻き分けるなんてことは出来ない。仕方なく枝に足を掛けハイマツの上に顔を出すと、南尾根上はピーク近くまでシャクナゲとハイマツの混成林が続いていた。辺りを見ようとハイマツに上がったが、意外なことに張り出した枝は強く僕の体重にもびくともしない。恐る恐る次の枝に足を置くとこれも平気だ。これは行けると雲海のように続くハイマツの枝葉の上をバランスを取りながらゆっくりと歩いた。何度か枝を踏み抜き半ば宙吊りとなるがコツをつかめば意外と簡単に歩ける。GPSが残り20mを示すと前方の立ち木に馴染みの2枚の山名板の下がっている。一気にシャクナゲ・ハイマツの上を乗越え山頂に立った。27分を要したが、その分しっかりと山頂を楽しみ戻りは西側に真っ直ぐ下り12分で塩那道路に復帰した。冬には数メートルの雪の下となりその重さに耐えたハイマツだからこそと自然の厳しさを実感する50分間となった。その後は日留賀峠から切り開かれた尾根筋を戻ったが日留賀岳までは100mの登り返しとなることもあり47分を要した。日留賀岳からも往路を往復し林道終点に戻った。この作道をどのように考えるかは別として、男鹿岳がより身近な山になったのは確かなようだ。写真左はピークに続くハイマツとシャクナゲの海、中央は山頂立ち木に下がるお馴染みの山名板、右は日留賀峠からの取り付き地点(カメラレンズが露に濡れているためボケボケ写真です)

101031男鹿岳・鹿又岳