今日は栃木側から荒海山、次郎岳を周回しようと出掛けてきた。下山を考慮して上三依の入山沢渓流釣り場先の林道余地にクルマを置いた。


6時5分に入山沢林道を荒海山に向けて歩き出す。沢沿いの林道は紅葉真っ盛りで快調な歩きが続くが、枝沢が合流するところでは沈潜橋を水が流れ靴を濡らさぬよう歩いた。スタートからちょうど一時間で←太郎岳登山口、芝草山北登山口→の案内板が並らぶ分岐となり、入山沢を渡渉すると倉掛沢沿いの登りとなる。登山口との案内板はあるが、登山道と言えるようなしっかりしたものではなく、沢の両岸の薄い踏み跡を拾うように進んだ。倉掛沢には多くの枝沢が入り込んでいるので分岐の度に進路を迷うが、辺りを注意深く探すと木の幹や岩に描かれた赤ペンキマークを見つけることが出来る。小さな階段状の滝や滑滝が続き、紅葉と相まってとにかく綺麗なのだか、足元の不安定さも群を抜き、スリルと美しさが共存するルートだ。写真左は入山沢林道からの登山道分岐地点、中央は倉掛沢沿いの薄い踏み跡、右は最後の沢分岐で左の沢沿いに上がる


沢沿いを歩くこと55分、ルートは案内板に導かれ尾根上を目指した急登となる。いきなりの急斜面はトラロープにしがみついて必死に上がり、100m余りを一気に登り南東尾根上となった。時折落ちていた小雨は、この高さまで来るとチラチラと舞い落ちる雪へと変わり一気に冷え込んできた。尾根筋には薄い踏み跡が続き、赤ペンキマークもあるので迷うことはない。県境尾根を眼前に捉えられるようになると、再び急勾配となり大岩を右に巻いてロープを頼りに這い上がると展望スペースとなった。南には高原山、西には荒海山~次郎岳~日向倉山の稜線が見えるが、雨は本格的な雪となり辺りは銀世界と化してきた。こんなこともあろうと持参した防寒具に着替えるも足元の冷え込みは半端ではない。何度かの渡渉で靴を濡らしてしまったからで、ここからは足の冷えとの戦いとなった。それもいよいよ限界となり、県境尾根から張り出した大岩の下でへたり込んでしまった。靴を脱ぎ靴下を取り替えるも靴の濡れは如何ともしがたい。ここから戻ろうとも思ったが、余りのルートの醜さにその選択肢は捨て、このまま進み荒海山から既知のルートである福島側に下る判断をして大岩を離れた。この大岩を左側からロープで攀じ登ると県境尾根となった。写真左は南東尾根上に向けての急登の始まり、中央は斜面中程から見た下方、右は尾根上の踏み跡


GPSを見ると荒海山まで直線で800m程ある。チシマザサとシャクナゲが混在する岩場の小さなアップダウンが続き、最後に5,60mを上げると荒海山の東峰となり、ほどなく荒海山となった。この県境尾根を歩いた凡そ1時間については足の冷たさだけが頭にあり、どうやって歩いたのかはほとんど記憶にない。写真左は県境尾根から見た南側で高原山もかすんでいる、中央は県境尾根筋の進行方向で前方は雪に霞む、右は荒海山東峰との鞍部近くから見た荒海山本峰


ここからは福島側に下り、荒海山登山口となる八総銅山跡を経て国道352号線に出た。車道を歩きながら、赤飯のおにぎり2個とクリームパンを一気にむさぼり、クルマまでの距離を地図で確認すると25kmもある。滝原地区まで来ると、夢の湯という温泉宿が見えてきた。事情を話すと宿の御主人が快くクルマまで送ってくれた。山の怖さと人の情けを思い知らされた一日だった。写真左は荒海山の大きな山名板、中央は福島県側の尾根ルートの積雪

入山沢渓流釣り場(6:05)→太郎岳登山口(7:06)→南東尾根への取り付き(8:00)→県境尾根上(9:01)→荒海山(10:14-10:25)→八総銅山跡(12:24)→滝原地区、夢の湯(13:33)