この3つの山を縦走するために夜のうちに下山予定の霧降スキー場駐車場に出向いてK田君を待って仮眠した。K田君は野球仲間でパンチ力抜群の突貫小僧といった感じなのだが、僕のお願いを快く引き受けてくれた。4時半に待ち合わせ僕の車をデポしてK田君の車で志津峠に向かったが、日光市内の清滝からははまだ5時半前だというのに渋滞が始まっていた。この渋滞は竜頭の滝まで続いていたが、その先はスムーズで6時10分過ぎに志津峠に着いた。


6時15分、志津峠を大真名子山に向けて登山道に入った。最初は平坦な小道といった感じだが八海山神銅像を過ぎると一気に急登となる。同時に路面も荒れ出し、岩や木の根が飛び出しステップを作っているが、段差は不揃いで膝・足首への負担が大きい。昨夜は遅くまで酒を飲んでいたためか体調が悪く、吐き気が時々襲って来るのでペースが上がらない。それでも一汗かいて水分を補給し始めたら吐き気は次第にとれて来たので、やっと飲酒による脱水が原因だとわかり、こまめに水分を摂るよるにしたら復活してきた。7時18分尾根の肩に取り付き、後ろを振り向くと男体山の全貌が広がり一気にペースが上がった。尾根伝いの岩稜となり途中には鉄製のハシゴやクサリが設置されているが、危険なところはない。


7時24分、大真名子山山頂に着いた。雲ひとつ無い青空は冷気と共により透明度を増している。視界は360度を全望できるが特に素晴しいのは、南から西にかけてだ。男体山、皇海山、日光白根山、太郎山などの雄峰、そして燧ケ岳などの福島の山々が大パノラマとなって登頂を祝福してくれているようだ。北から東に目をやると小真名子山~帝釈山~女峰山が一望でき、これからのルートを辿ることが出来た。7時26分、気合いを入れなおして小真名子山を目指し、鷹の巣に向かった。


しばらくは快適な尾根歩きが続くが、直ぐに原生林の中の急な下り、倒木があちらこちらに散乱していたが登山道を遮るものはしっかりと処分されていた。ところがいつも使っているスパッツのファスナーが壊れてしまい修理に手間取りに鷹の巣に着いたのは8時5分だった。ここまで約300m弱を下り、次は250mを上り返すのかと思うとちょっと気が重くなるが、鷹の巣で一息入れて再スタートした。路面は相変わらず木の根が縦横に張り出していてステップしづらいが、それにも増してここは急登だ。全ルート中一番の急斜面がこの間だと思う。そのためだろうか踏み跡はいく筋もあり、それぞれが自分に合った踏み跡を選択することとなる。8時30分にやっとのことで小真名子山に着く。西側には太郎山越しに日光白根山と燧ケ岳、東側には目の前に帝釈山へ続く急な尾根が迫っていた。展望の良い反射板がある北方の肩で休憩し、8時36分に富士見峠に向かった。


ここの急勾配は危険だよと聞いてはいたが予想以上にハードだ。最初は薙に沿ってルートが作られているのでそれほどでもないが、中程からは薙の中に黄色いマーカーは続き、ちょっと足元を踏み外すとスリップするし、ガレ石は容易に斜面を転げ落ちる。他に登山者は居なかったので大事には至らなかったが、2度3度と足を滑らし石を落としてしまった。9時7分、富士見峠について今度は帝釈山への長い上り返しが始まった。ここも風倒木で登山道は荒れていて、左右にいくつかの踏み跡が交差していたが、稜線に沿ったルートは見た目ほど勾配はきつくはない。ただしひたすら上り勾配なのでペースをやや落として進むことにした。


10時1分帝釈山山頂に着いた。ここの視界も本当に素晴しい。上り来た大真名子・小真名子やその鞍部の鷹の巣まではっきり見える。その右には太郎山の全景を捉えることが出来る。後ろを振り返ると、女峰山へ続く痩せ尾根がくっきり見えてくる。どこを見ても美しすぎる!! 正に絶景ポイントだ。10時5分、写真を撮りまくって次の女峰山を目指した。


帝釈山から女峰山までは東西に連なる尾根を縦走することになるが、常に360度の視界があり天空の登山道だ。軽いアップダウンを繰り返し小さなピークを越えていくが、勾配的にきついところはない。ただスリップすると一巻の終わりというような極端な痩せ尾根もあるので慎重に進んだ。進路左手の北側には紅葉で鮮やかに染まった山肌の中に切込湖、刈込湖が見え、その上方には田代山や荒海山などが顔を覗かせていた。


女峰山への最後の上りは岩稜の急勾配となり、しっかりと両手で岩をホールドして進んだ。10時35分、女峰山の山頂に着いた。2483mからの展望は素晴しいの一語につき言葉を失う。東には上り来た山々、南には馬立てを中心に広がる日光連山の原野、西には赤薙山に連なる稜線が見える。今日も何千・何万という人がこの日光を訪れているかもしれないが、この絶景を体感できる人は一握りしか居ない。その幸せをしっかり堪能して10時45分山頂をあとにした。


女峰山から赤薙山までは稜線伝いの登山道となるが、踏み跡はしっかりしているので迷うことはない。大小含めて10個位のピークを越えていくことになるが、その間に500m近く高度を下げることになる。下りが主体なので心肺への負担は少ないが、5km近くのアップダウンは足腰への負担はかなりのものだ。途中、水場、一里ヶ曽根、ヤハズ、奥社跡を通過して12時48分に赤薙山に着いた。今までと異なり視界は立ち木のためにほとんどないし、先客も居たので早々に引き上げ12時50分キスゲ平に向かって下山を開始した。ここから先は今までとは様相が一変し、多くの登山者と行き違う。紅葉シーズンということでスキー場のリフトも動いており、子供連れの人たちも多い。返って一人だけが場違いの感じなので足早に霧降スキー場第3駐車場を目指し、13時47分にデポした車に戻った。

志津峠登山口(6:15)→大真名子山(7:24-7:26)→鷹の巣(8:05)→小真名子山(8:30-8:36)→富士見峠(9:07)→帝釈山(10:01-10:05)→女峰山(10:35-10:45)→水場(11:28)→奥社跡(12:15)→赤薙山(12:48-12:50)→霧降スキー場第3駐車場() 全行程:7時間32分 GARMINデータより 距離:12.70km 累積標高(+):1514m 累積標高(-):1968m 平均速度:1.7km/h 


左はルート図、右は高低図