台風の影響で県南方面は雨模様との天気予報だったので、福島県境の大倉山に行って来た。ルート的には栃木側の三本槍岳または三斗小屋温泉を経由する2つがあるが、どちらも長時間の山行となるので福島県側から登ることにした。


前夜のうちに塩原から尾頭トンネルを抜け田島に向かった。国道121号線を北上し下郷町から右折し、大峠林道を目指す。10km位で道路は次第に細くなり、やがて砂利道となると直ぐに登山道の入口となる駐車場だ。いつものようにビールを飲み仮眠して5時過ぎに起き出した。5時44分に林道を歩き出したが、この時期になると朝は結構冷え込んでいて半袖だとちょっと寒い。10分で林道終点に着いたが、ちょうどその時に左前方でガサッと音がした。やばい、もしかしたらとザックの肩から下げていたスプレーに手をやった瞬間、ザ・ザ・ザ・ザッと黒く丸い影が笹の斜面を駆け上がったのだ。その間、多分2,3秒の出来事だと思うが初めての熊との遭遇だった。正直怖かった。戻ろうかとも思ったけど、まさか日に2度は無いだろうと歩を進めた。


林道終点からは一里塚、鏡ヶ沼分岐を通過していくが、次第に路面は荒れ出し勾配もきつくなってくる。木の根が張り出していたりかなり歩きにくいところもある。6時19分、大峠に着いた。3ヶ月ぶりに会ったお地蔵さんに無事のお願いをして流石山の急勾配の上りに取り付いた。笹原の中のガレ場の登山道は足をとられて結構歩きにくい。そればかりか沼原の方から巻き上げられるように湧き出すガスが一面を覆いだし次第に視界もなくなってきた。


7時2分、流石山に着くがガスに覆われて視界は無い。この一帯は笹と潅木が主体なので晴れていれば360度の絶景が広がるだろう。ここからは尾根伝いとなるが、大倉山との標高差はほとんどなく踏み跡もしっかりしているので順調だ。ただ風がどんどん強くなってきて、時折突風に体があおられる。


軽いアップダウンを繰り返しながら尾根を進むと小さな沼が2つ続けて見えてくる。2つ目の沼を過ぎるとちょっとしたピークになりGPSは山頂を示している。けれどそれらしき案内も無いのでそのまま進むと再び登り勾配となってきたので、GPSでもう一度確認すると山頂思わしきピークがは300m位先にある。僕が使っているGPSはGARMIN製で「日本地形図10m等高線仕様」という地図ソフトを組み込んでいるが、山頂の位置が実際とは違う場所にプロットされていることが結構あるので注意が必要だ。7時41分、山頂に着く。ここも四方に遮蔽物は無く、晴れていたらさぞや素晴しい絶景が望めることは容易に想像できた。あいにくの天候で、風もどんどん強くなってくるので7時43分山頂を後にした。


来たルートを戻るだけなのだが、小雨まじりの横殴りの風に体をあおられ一瞬吹き飛ばされそうになったりもしながら必死の思いで歩き続けたw 8時20分に流石山、8時50分に大峠を通過したが大峠を越えた途端、今までの強風はいったいどこにと言う感じでほとんど無風状態になった。そのまま順調に山道を下り9時20分、駐車位置に戻る。今日の山行は、熊との遭遇や山の気象の変化の凄まじさを図らずも体験することとなり、自然の奥深さやその驚異を再認識することとなった。

登山口(5:44)→大峠(6:19)→流石山(7:02)→大倉山(7:40-7:43)→流石山(8:20)→大峠(8:50)→登山口(9:20) 全行程:3時間36分 GARMINデータより 距離:11.14km 累積標高:877m 平均速度:3.0km/h


ルート図