昨日は荒船の湯で汗を流し、近くの食堂でビール付きの定食を食べて店の駐車場で一眠りした。ところが街道沿いなので車の音がうるさくて眠りにつけず、酔いも醒めた夜半に車を近くの物語山への林道に移動し静かに寝ることにした。起きてみると入り込んだ林道は地形図上の最深部だった。


物語山(1020m、荒船山)は本峰と西峰からなり、その北西部にあるメンベ岩の特徴的な形からいくつかの伝説があり、それがユニークな名前の由来となっている。ぐんま百名山の一でもある。道型の崩れた林道を15分ほど歩くと、沢を越える形で登山道が始まる。ここでミスをした。踏み跡が薄くなったので直ぐに間違いに気付いたのだが、どうせ目の前の稜線がルートだろうと勝手に思い込み尾根上に上がった。尾根筋はほどほどの勾配で苦もなく登ると突然目の前に大きな岩壁が現れた。最初は右に巻き次の枝尾根まで行くも頭上には相変わらず岸壁が続き諦めて戻った。次は左を巻き上げると勾配は増すものの岩壁はどうにか避けられそうだ。この時点でアノマリーコースに踏み入れたことは十分に自覚したが、上を見れば急勾配ではあるが灌木を手掛かりにどうにかなりそうに思えた。この性分は危険と紙一重である。足元からは幾度となく石が落ち、下の方からは痛々しい落下音が響いてくる。もうここを下ることは出来ない、登り切るしかないと覚悟を決め、必死に攀じ登った。そしたついに登り上げた岩稜の上からはメンベ岩のマナイタ模様が真下と思えるほど近くに見えた。そこからも一抹の不安の中で痩せた岩稜を行くと、突然しっかりした踏み跡となり西峰となった。ここで初めて下山できる確信を得て、コルから本峰へ登り返した。山頂には三角点と立派な山名柱があった。近くの幹に小さな温度計がピンで固定され、14℃をさしていた。下山はコルから正規ルートを下りた。登り1時間57分(コースタイムの2倍近い)、下り47分。写真左はやっと登りついた岩稜の上から見たメンベ岩、中央は物語山山頂


三峰山(616m、下仁田)は地元ではもっぱら富士浅間山または宮室山と呼ばれているようだ。これは登山口となる常光寺の住職さんが話してくれたことによるのだが、常光寺の南西に富士浅間神社があり、その裏手に続く参道を登ると鳥居を経て山頂となるとのことだ。住職さんは三峰山という名は勝手につけられたもので、実は富士浅間山または宮室山が正しいと力説されていた。常光寺から山裾に沿うように踏み跡を行くとほどなく富士浅間神社の社となる。裏に回り込むと参道が続き、急勾配の登りとなった。参道はスギ山の急傾斜地を勾配を避けるように作られ小さな鞍部で稜線上となった。そこから尾根筋を一登りすると大きな鳥居が現れ、一旦平らな尾根筋となり少しばかり急登を上がると山頂となった。少し大きめの石祠と富士浅間山(宮室山)と書かれたプレートが設置されていた。戻りは尾根筋を真っ直ぐ下り常光寺の直行するコースをとった。登り40分、下り29分。写真左は山麓にある富士浅間神社でこの裏手の参道を上がる、中央は山頂で富士浅間山の山名板が自己主張していた


四ツ又山(899m、荒船山)は関東百名山の鹿岳と尾根続きで周回コースで巡る人が多いが、鹿岳は登頂済みなので今回は最短の大久保登山口から天狗峠越えをピストンすることにした。大久保登山口から堰堤の横を抜けると沢に沿った登山道となるが、滑滝となって流れる沢音に気分良く高度を上げていくとマメガタ峠(鹿岳)と天狗峠(四ツ又山)の分岐となる。右に分岐し柵に囲まれた畑の横を上がると急勾配のスギ林となる。傷めたアキレス腱に負担をかけぬようペースを落してるので息は上がらずどうにか天狗峠となった。尾根筋に上がってからも結構な勾配が続き、マメガタ峠への分岐を分けるとほどなく山頂となった。天狗の石像が立つ山頂からは北西方向が開け、ふたこぶラクダのような鹿岳が望める。登り64分、下り41分。写真左は鹿岳との分岐地点、中央は山頂